事例2: 某メーカー系企業様 「過去の映像資産を積極活用したい広報部」
概要
特に映像というコンテンツは、記録にも視聴にも実時間を消費するものですから、誰もが簡単に活用できることが重要な意味を持ちます。またアーカイブとは、それ自体は「過去のもの」であり、投資できる予算にも限りがあります。
今回の事例は、ビデオ技術に通じたオペレーターが必要な高機能システムから脱却し、再利用性と保存性(画質)とのバランスを追求した、ローコストプランの一例となります。
従来からある狭義の「データアーカイブ」からは外れる形で、お客様にとっての最適解に寄り添います。
作業内容
依頼概要 | ビデオデジタイズ(MP4変換)・素材情報の管理(追記)・テープクリーニング・16mmフィルムの現像 |
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素材種類 | 16mmフィルム缶(未現像) 1本/Umatic 5本/ベータカム 4本/VHS 6本 |
納品ファイル | MP4(H.264/AAC) |
納品メディア | ポータブルHDD 1台 LTO-7 カートリッジ 2本(2重バックアップ) |
作業期間 | |
管理形式 | お客様の独自形式に追記(Excel シート) |
作業後の素材 | お客様へ返却 |
オリジナルマスターテープと アーカイブ済みビデオデータの物理サイズ比較
依頼概要 | BEFORE | |
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16mmフィルム 1本 Umatic 5本 ベータカム 4本 VHS 6本 | ⇒ | ポータブルHDD 1台 LOT-7 カートリッジ 2本 |
ダンボール1箱ぶんの映像素材が、片手に収まる分量のメディアへ移行できました(バックアップ用LTO込み)。
エピソード集
【お客様が導入されたLTO映像アーカイブシステム】
「これがそのマニュアル(説明書)になります」
導入されていたのは、大手電機メーカー製の大規模な映像アーカイブシステムでしたが、多機能かつ映像業界向けのインターフェースになっており、一般の社員が気軽に運用するにはあまりに大仰なものでした。
現在ではシステムを運用できる社員が不在になり、オペレーションが必要になるとメーカーの技術者を派遣してもらうという運用になっていました。お話を伺った当初、「メーカーの技術者に代わってオペレーションを引き受けてくれないか」 という切り口で依頼を考えられており、そこからご予算を含め理想的な運用を伺った結果、当社提案の受注となりました。
【ご要望 (簡単に映像を運用したい)】
「なにしろ私たちがLTOの中身を見れないことには、意味がありませんので・・・・・・」
現状では、LTOカートリッジの中からお客様が映像を探し出すことも、取り出すこともできません。
今回のご希望は、これまでの基本的な管理フォーマット(表)は踏襲しつつも、新規でデジタイズする映像をアーカイブシステム経由ではなく、より汎用性のあるシンプルな方法で作成して、お客様自身で閲覧・共有したいというものでした。
また、限られた予算の中で目的を達成する必要があったため、「1通りのデジタイズ」でバランスの良い落しどころを決定していきました。非圧縮ビデオ・映像編集用コーデック・MPEG系の圧縮ファイル・・・それぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明してご理解いただき、サンプルファイルを作成。幾つかの検証を経て、熟慮の上で選択していただきました。
【決定したデジタイズの仕様】
・MP4(H.264/AAC)を採用
・一般事務用のWindows PC/Mac上で視聴ができること
・映像として破綻させず、VHSオリジナルに相違ない品質を確保すること
・デジタイズ素材の管理は、これまでの自社アーカイブ管理表を踏襲する
ということで、結論としてMP4(H.264/AAC)コーデックを採用しました。まぎれもなく高圧縮のビデオフォーマットであり、厳密な「アーカイブ」という定義においては決して推奨されないコーデックですが、ご予算やお客様自身による自社資産の積極的再活用を主眼においたとき、最も価値を発揮できる判断だったと思います。